現代美術の要素を盛り込んだ歯科クリニック


歯医者さんに行く前に何を思うでしょうか。

「どのくらい削るのかなあ。痛くないのかなあ」そんな気持ちを楽にすることは出来ないが、建築に出来ることも何かあるんじゃないか?

そんな問いから設計を始めました。

シンプルで清潔な外観があればいい。そして、その場にしかない時間に何かを加えることが出来たら。具体案として、診療室で長い時間向かい合うことになる「壁」に機能を持たせれば良いのではと考えた。もしそこが大きなアートスペースの一部だったなら......歯型を取るためにじっとしている時間を、新しいものに触れる時間と交換出来るかも しれない。

そこで、現代美術の作家・森野晋次氏とのコラボレーションを考えました。

出来上がった空間に後で作品を据えるのではなく、設計段階から模型による検討を繰り返し、互いに納得できる点を模索したのです。

簡単ではなかったが一方通行ではない関係の中で完成に至ったと思う。

診療室に入ると、壁がいつの間にか天井となる柔らかな曲面が出迎えます。これは、訪れる人の気持ちを少しでも和らげたいという気持ちを具現化したものです。

診療イスに座ると視線の先には大理石のアートワーク。床面からの照明と高い位置から入ってくる 自然光によって、刻々と移ろい行く姿を見せてくれます。

この試みに患者さんがどんな気持ちになるかは想像するしか出来ないが、せめて家族との会話のきっかけにでもなれば……と思います。

概要
作品名 つるみ歯科クリニック
ジャンル オフィス・事務所
所在地 大阪府大阪市
間取り 診察室、待合室、加工室、院長室、スタッフルーム
基礎 コンクリート
屋根の形 アール
APE塗装
構造 鉄骨造
ロケーション 都市部
設計から完成までの期間 1年

守谷 昌紀

夢は必ず実現する、してみせる。