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2008年の2月18日にオファーを貰い、翌年の9月28日に完成したのが「かやしまフォトスタジオOhana」である。
元の店舗は京阪萱島駅の高架下にあった。
創業者は、現在の店主でありカメラマン石井さんの御尊父である。
高度経済成長期、DP店と言われる現像やプリントサービスは、大変に繁盛したそうだ。
しかし、デジタルカメラ時代に入り、新しい業態へと変化していく分岐点にあったのが新店舗計画だった。
外部スタジオとして計画したのが35本の列柱。
H鋼は少しずつ隙間を空け、風も通るようになっている。
その後ろに見えるのが、創業者のご自宅だ。
大手プレハブメーカーの建物で、そのワンユニットを撤去し新店舗を設計した。
文字通り、Ohanaとは一心同体だったのである。
「センスの良い知人宅のリビング」と設定したレセプション。
2階のスタジオも背景の為の背景はやめて、自然光でも撮影できるよう、様々な形態の窓をあけた。
そしてご家族の、ナチュラルでハッピーな写真を写し続けてきたのである。
ひとり増え、ふたり増えと、毎年撮影にきてくれるご家族も多い。
2011年には『第5回キッズデザイン賞』を受賞し、私としても自信を持たせて貰った仕事だった。
しかし今回、府の道路拡張事業にともない、解体撤去しなければならないことになった。
新しいOhanaは、現在の店舗のコンセプトを踏襲するも、更なる発展をしなければ意味がない。
100m程離れた新敷地を初めて見せて貰った時は、私がひとりはしゃいでいた気がする。
新店舗のコンセプトは「あの森のOhana」だ。
敷地の回りに空地があり、そこに多くの樹々が植わっている。
計画の推進力はクライアントの情熱だが、その方向性を決定するのは、動機と環境だと考えている。
この環境を、生かし切りたいと考えたのだ。
1階のレセプションは、一回り大きくなった。
2階のスタジオも、石井さんが最高の仕事をできるよう、理想的な大きさを綿密に確保した。
「あの森」は木が生い茂っているという意味だけではない。
誰の心の中にもある、何かワクワクするような場所……
第二幕の開演である。
文責:守谷 昌紀
■■■1月27日 『Best of Houzz 2021』を「中庭のある無垢な珪藻土の家」が受賞
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