木の葉が揺れるクリニック|内科病院・オフィス


内科医であるクライアントは、その時点で日本を出て10年でした。スーダン、ポーランド、ペルーと海外で働き、翌年の帰国が決まっていた。

それに合わせて開院するクリニックの建築相談でした。 以来、14時間の時差を越え、スカイプとメールでのやりとりが始まりました。

敷地は大阪市城東区。以前は町工場も多かったが、現在は住宅とマンションが密集して建っています。

梅田から地下鉄で10分と非常に便の良いところでした。

自身のキャリアの最後は、育った地域に恩返しをしたい。

大病院で働く医師より、街のお医者さんでいたい。

そんなクライアントの想いがありました。

クリニックとは街のピットのようなものです。気軽に立ち寄れて相談できる場所を作りたい。不安な顔で訪れた人が、何か元気になって帰って行く。

そんな雰囲気を持ったクリニックにしたい。当初よりコンセプトは明確でした。

それに対し、私達が提案したのは光庭のあるクリニックです。

密集した市街地から切り取られた光庭に、一本の木が屹立する。

光庭を背に受付があり、囲むように円形の待合があります。白いキューブ状の2階は住宅部です。

張り出した部分がクリニックへのアプローチを演出しています。 

受付は、多くの書類を置きたい場所であるが、診察室との間に収納スペースを確保することによって、光庭との共存を可能とした。

待合の天井高は3.5mです。上部まである開口が光庭に対して開かれています。

光庭を覆うルーバーは5度刻みで緩やかに変化します。ある位置では近隣の視線を遮断し、ある高さでは積極的に光を取り込めるよう、検討を繰り返した。

光はイロハモミジを透過し、柔らかな木漏れ日となって内部に届くような仕様です。

自然こそが、訪れる人の心を穏やかなものにしてくれると思います。

概要
作品名 伊東内科クリニック
ジャンル オフィス・事務所
所在地 大阪府大阪市
基礎 コンクリート
外壁 塗装
フローリング・タイル
ロケーション 郊外
設計から完成までの期間 2年