光を求めてカドへ集められた開口部のある住宅|一軒家・自宅


高層の雑居ビルや集合住宅が建ち並ぶ都内でも有数の高密度商業地域です。

そんな中で今回の計画地もまた、10階建てのマンションに見下ろされ、7階建てのビルに真南を塞がれるという厳しい条件下にあります。

一方、東に6Mの道路、北に3Mの道路(これは路地と言った方が良いかも知れない。)が通る角地である事は、ポジティブに受け止められそうであった。

北側の路地沿いには、高層の建物に混じって10M規模の中低層の建物も点在しています。

これは中央区特有の高密度化地区計画に寄るものであろう。

住宅のボリュームは、要求されるプログラムや地区計画の制限等を考慮し、後者の”10M規模”に属するかたちで決定した。

次に、そのボリュームの中で、都市においてプライバシーを確保しつつ如何に快適に住まうかがテーマとなります。

敷地が角地である事を活かし、比較的”抜け”を確保出来そうな建物の角に集中するように無数の開口を設けた。

サイズは様々だが、基本的にはすべて通常よりも大きく、その度合いと密度は角に近づくほどに増しています。

これにより都市と内部空間が溶け合うような、境界が消え行くような在り方を目指した。

また、空間のスケール、インテリア素材、ディテールにおいても都市的なスケールを持ち込んでおり、単に都市に対してオープンであるだけでなく、”都市の中に住む”事をやや強めに意識させようとしています。

決して良好とは言えない環境下、タフでありながら潔く、それでいて微笑ましささえ感じさせくれるこの家は、ここに住まう家族の勇気を讃え、期待を背負ってくれそうであります。

概要
作品名 カドケシ
ジャンル 一軒家 , 自宅
所在地 東京都中央区
間取り 2LDK
基礎 ベタ基礎
外壁 RC打放し+塗装
屋根の形 フラット
塗装
構造 RC
延床面積 109.93㎡
松下 慎太郎

松下慎太郎|まつした・しんたろう|一級建築士事務所タスエス

"建築が出来上がるまで"を楽しみ"建築が出来上がったあと"を楽しむ